財産保全とは、債権者が債権回収のために債務者の財産を確保しておく手続のことです。ここでは、保全可能な財産の種類や要件について詳しく解説します。
一般的に保全可能な財産は以下の通りです。
財産を保全するには、次の要件を満たす必要があります。
保全対象の財産が存在すること。また、債権の存在とその金額が明確であること。
保全しようとする財産が債務者のものであること。所有権や賃借権などを証明する書類が必要となることもあります。
保全する財産が、回収すべき債権金額に相当する価値を持っていること。評価方法については、専門家による鑑定などが使用されます。
保全によって債権回収が確保されること。保全により債務者が財産を処分したり隠匿したりするリスクが低下します。
財産を保全する方法としては、以下のようなものがあります。
債務者の財産を仮に押さえておく手続。債権者が裁判所に申し立てて許可を得る必要があります。
債務者に一定の行為を禁止したり、財産を管理させたりする手続。仮差し押さえよりも強制力が強く、裁判所ではなく弁護士が申し立てることができます。
債務者の財産に対して担保権を設定して、債権を担保する手続。抵当権や根抵当権などがこれにあたります。
財産を保全する際には、以下の点に注意が必要です。
保全する財産の価値が債権金額を著しく上回る場合、過剰保全として認めないことがあります。
第三者に所有権や担保権などの権利がある財産は保全できません。
保全に要する費用は、原則として債権者が負担します。
保全は原則として債務確定まで続きますが、裁判所によって解除されることもあります。
一部の財産は、保全から免除されています。生活必需品や一定以下の価値の財産などがこれに含まれます。
財産保全は債権回収を確保するための重要な手続です。保全可能な財産の種類や要件を理解した上で、適切な手続を選択することが重要です。保全に関する疑問や問題があれば、弁護士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。